2016/10/06

トランス脂肪酸はなぜ体に悪いのか

近年、バターは品薄ぎみで高価ですが、マーガリンはさほどではありません。
パンに塗るにはマーガリンで十分と考えがちですが、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸の危険性が叫ばれています。

マーガリンの原料は植物性の油で、もともとは液体です。そこに水素を添加すると化学反応を起こし、油が固まります。

この過程で大量に発生するのがトランス脂肪酸で、 「狂った油」とか「食べるプラスチック」と言われたこともありました。

実際はマーガリンの構造はプラスチックとは別物ですが、何年も腐ることもなく、カビが生えることもありません。それだけでも少し怖いものを感じますが、問題はさまざまな病気を引き起こす可能性があることです。

トランス脂肪酸は、体内細胞の細胞膜の中に入り込み、細胞の働きを狂わせたり、体に必要な栄養素を破壊したりします。その結果、心臓病や脳血管障害、発ガンの原因になると言われています。

そのほか、悪玉コレステロールの上昇や、アルツハイマー病、パーキンソン病、アレルギー疾患、糖尿病などの原因になることも多くの研究で明らかにされています。

このような健康被害が明らかになるにつれ、世界保健機関(WHO)は、2003年にトランス脂肪酸の摂取量を摂取エネルギーの1%(約2g)未満にするように勧告。米国食品医薬品局(FDA)はトランス脂肪酸の食品添加物を2018年6月から原則禁じるなど、世界中で規制が進んでいます。

しかし、日本では「大多数の日本国民のトランス脂肪酸摂取量は、WHOが推奨する総エネルギー比1%未満を下回っており、通常の食生活では健康への影響は小さい」という理由から、今のところ表示の義務付けもありません。

白米が主食の日本人は、確かにトランス脂肪酸の摂取量が少ないかもしれませんが、国民全ての人が摂取量が少ないというわけでもなく、また量が少なければ安心というわけでもありません。

トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニング、それらを原料としたパンやクッキー、ケーキ、ビスケット、ドーナツ、マヨネーズ、スナック菓子、インスタント麺、アイスクリームなどにも入っています。

健康を守るためには、トランス脂肪酸の入ったものは、できる限り摂らないようにしたほうが安全と言えるかもしれません。



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