2009/07/11

肺マック症と浴室のヌルヌル

最近、中高年女性に急増している病気に「肺MAC(マック)症」というものがあります。
肺マック症は、風邪の時に見られるようなしつこい咳や痰がいつまでも続き、病気が進行すると微熱、発汗、食欲不振、体重減少、倦怠感、貧血、血痰などが生じてきます。
肺マック症の初期の段階は、結核と似ているため、誤診されることもありますが、結核とは異なり、うつる事はありません。
この病気を引き起こすのは、非結核性抗酸菌という菌の仲間で、「アビウム」と「イントラセルラーレ」という細菌です。この菌は、通常はプールや噴水などの水周りや、土の中、動物のフンなどに生息しており、水やほこりに混じって体内に入り、抵抗力が落ちた時に感染しやすいとされています。肺マック症は、欧米では1980年代後半から増加していますが、なぜか日本では、持病のない中高年女性を中心に急増しています。
新規患者数は、年間で8000人から10000人に上ると見られています。
症状の進行は、比較的緩やかで、殆ど自覚症状がないまま回復してしまう場合もありますが、進行した場合、抗結核薬が必ずしも効かないため、治療が長引くケースが多くなっています。

また、この肺マック症の感染経路は不明でしたが、大阪市立大医学部付属刀根山結核研究所の西内由紀子助教(細菌学)らの研究によると、自宅浴室が主な感染源になっている事がわかりました。肺マック症の患者29人の自宅浴室から、水やヌルヌルした汚れを集め、病原菌の有無を調べたところ、約半数にあたる15人の浴室から肺マック症の原因であるアビウム菌とイントラセルラーレ菌を発見し、このうち7人が感染している菌と浴室の菌が遺伝子レベルで一致していたのです。
菌の発見場所で最も多かったのは、浴槽内の「追い炊き口」で、その他、浴槽内の水や排水口、シャワーヘッドなどからも検出されました。

肺マック症を防ぐには、体の抵抗力を落とさないようにするとともに、浴室を清潔に保ち、乾燥させて菌の繁殖を防ぐようにする事が大切です。

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