定年退職直後、多くのシニアの方は、「もう、会社に出勤しなくてもいい」といった安堵感と「これから好きなことができる」といった希望で胸がいっぱいになります。
ところが、「やりたい事」がなかなか見つからないと、何もせずにボーッとしたまま1日が終わります。
また、仕事をしていたときの緊張感や充実感、上司や同僚、部下との人間関係が一気になくなったことによる「喪失感」が徐々にわいて来ます。
この状態が何日か続くと「何をやってもつまらない」といった無気力状態に陥ります。
一日中何もしないことから家族からも疎んじられるようになると、漠然とした不安と孤独に襲われ、眠れない日々が続き、食欲もなくなってきます。
これが定年退職後の抑うつ状態で、「定年後うつ」「老人性うつ」「退職症候群」とも呼ばれています。
コロナ禍の影響で外出を控えざるを得ないシニアの方は、さらにうつ状態になりやすいと言えます。
このような定年退職後のうつ状態を避けるには、何でも良いのでやることを見つけ、心の空白を作らないようにすることが第一です。
家の周りをかたづけたり、ペットの世話をしたり、読書や音楽に熱中したり、家庭菜園をしたりと、あえて忙しく動き回るようにします。
そうしているうちに、定年退職後の新しい生活リズムができあがってきます。
その生活リズムに慣れてくれば、自然に「やりたい事」も見つかり、抑うつ状態を避けることができます。