2013/04/02

アルツハイマー病が注射で回復する可能性

現在、認知症の患者は日本だけでも約300万人いると言われますが、その6割以上を占めるのがアルツハイマー病です。
アルツハイマー病は、脳内に「アミロイドβペプチド」という異常なタンパク質が過剰に蓄積して、神経細胞を破壊して行くことが原因とされています。
今までは、アルツハイマー病は進行を抑えるだけで確実な治療法はないと言われて来ましたが、将来は注射で回復する可能性が出てきました。
長崎大と自治医科大、理化学研究所の共同研究チームが、アミロイドβペプチドを分解する酵素の遺伝子を注射器でマウスの血管から体内に投与して、症状を改善するという実験に成功したからです。

アミロイドβペプチドを分解する酵素は、「ネプリライシン」というもので、もともと脳内で作られますが、加齢やアルツハイマー病の進行とともに量が減少します。今回の実験では、このネプリライシンを作る治療遺伝子(ネプリライシン遺伝子)を脳の神経細胞だけに作用する無害なウイルスを使って、アルツハイマー病のマウスの脳まで届けるという方法で行われました。
その結果、アミロイドβペプチドが減少し、マウスの学習能力・記憶能力は通常のマウスのレベルまで回復したそうです。
この研究をさらに進めることにより、将来的にはアルツハイマー病は注射で回復できる病気、そして予防できる病気になる可能性があります。

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