2010/12/13

長引く咳と結核

風邪が治ったはずなのに、咳がいつまでもとまらないという場合に、気をつけなければならないのが結核です。結核は、過去の病気と思われがちですが、決してそうではありません。2009年には、何と2万4千人もの結核患者が新たに発生しているからです。その中の約半数が70歳以上でしたが、この場合、結核がまん延していた昭和20年代から30年代に一度感染していたことが疑われています。
結核菌は、長い年月に渡って体内で休眠するという特徴があるからです。免疫力が強い場合は、結核菌の増殖が抑えられるため発病しませんが、加齢により体力が低下したり、ステロイドや免疫抑制剤などの薬物を使用したり、ほかの病気の影響で抵抗力が落ちたりした場合、発病する危険性があるのです。

発病すると、微熱や全身倦怠感、食欲不振、体重減少とともに、咳やたんが2~3週間続きます。治療をせずに放置しておくと、肺出血や喀血などの重篤な症状が現れ、最悪の場合は死に至ります。結核は、昔は「労咳」あるいは「不治の病」と呼ばれ、一度発病すると助からない病気の代表でした。現代は、予防接種の普及や治療法の確立でさほど恐れる病気ではなくなりましたが、治療が遅れると危険な病気に変わりはありません。
いつまでも咳やたんがとまらないというシニアの方は、結核も疑ってみましょう。

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