2011/05/16

腸管出血性大腸菌O-111とO-157

富山県等の焼き肉チェーンで牛肉(ユッケ)を生で食べて食中毒を起こし、4人が死亡したといういたましいニュースがありましたが、あらためて食中毒の怖ろしさを感じます。この食中毒の原因となったのは、腸管出血性大腸菌のひとつである「O-111」というものでした。

大腸菌は、もともと人や家畜の腸内に存在しているもので、ほとんどのものは無害と言われています。しかし、大腸菌の中でも、下痢や消化器症状などを起こすものがあり、それらは病原性大腸菌と呼ばれています。さらにこの中でも特に強力なベロ毒素を産生して、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)をおこすものを、腸管出血性大腸菌と言っています。

今回、ユッケで食中毒を起こしたのは、この腸管出血性大腸菌のひとつであるO-111ですが、平成8年には、大阪府堺市で腸管出血性大腸菌O-157による集団食中毒が発生し、3人の死者が出ています。
大腸菌は、菌の表面にあるO抗原(細胞壁由来)とH抗原(べん毛由来)により細かく分類されており、O抗原による大腸菌だけでも、現在180種類あります。その中でO-111は111番目に発見され、O-157は157番目に発見されたもので、この他に日本でも被害を出したことのあるO-26などがあります。

これらの腸管出血性大腸菌に感染すると、2~9日の潜伏期間の後に発熱や腹痛、水溶性の下痢などを起こし、次第に血便になります。これは、ベロ毒素の作用によって大腸粘膜が破壊され、腸壁からはがれて出血するためです。重症化すると、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの合併症を起こし、危険な状態になります。
特に子供や高齢者など、抵抗力の弱い人が感染すると重症化しやすいので、注意する必要があります。
また、症状から食中毒が疑われる場合は、できる限り早く病院の診察を受けるようにしましょう。

参考サイト 食中毒の症状と応急処置

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