2012/07/03

胃ろうと延命治療

「胃ろう」は、おなかに小さな穴を開け、管を通して胃に直接水分や栄養を流し込むという人工栄養補給法です。口から食べることができなくなった患者に対して行われるもので、1979年にアメリカで開発されました。
手術や管理が簡単なため、日本でも1990年代から急速に普及し、胃ろうによる治療を行う病院が増えています。
それまでにも点滴による人工栄養補給が一般に行われていましたが、胃ろうのほうが胃腸の運動を活発にして免疫機能を高めるため、回復が早くなるなどのメリットがあります。

しかし、高齢者の終末期に胃ろうが使われる場合、本人の望まない延命治療が長期間行われ、苦痛が長引くだけであるという問題が以前から指摘されていました。
胃ろうは、一時的な栄養補給に使用し、回復して再び口から食べられるようになるなら理想的な治療法ですが、胃ろう患者の7割以上は食べる力が回復しないという現実があります。

そんな中、最近になって日本老年医学会は、患者の意思や生活の質を考慮して胃ろうを中止することも選択肢に入れたガイドラインをまとめたそうです。胃ろうによって延命が期待できる場合でも、本人が希望しない場合は、医療関係者と本人、家族らと話し合った上で合意すれば、栄養分の減量や中止もできるものとしました。
胃ろうと延命治療について、普段から家族と話し合っておくのも良いかもしれませんね。

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