2011/07/26

乾癬の新しい治療薬・生物学製剤

乾癬は、皮膚に赤い発疹ができて盛り上がり、やがてボロボロとはがれ落ちて行くという慢性の皮膚疾患です。発疹が発生する部位は頭部をはじめ、肘や膝、髪の生え際、腰などで、かゆみを伴うこともあります。
日本では、この乾癬患者は10万人~20万人いると言われ、決してめずらしい病気ではありません。人から人へうつる病気ではありませんが、周囲の視線が気になり、プールや温泉などに行けないと悩んでいる方も多いようです。

乾癬は、もともと欧米に多い病気でしたが、最近は日本でも増えています。原因はまだはっきりと解明されていませんが、免疫異常による自己免疫反応が起きやすい人に、外傷やある種の感染症、薬剤、ストレス、気候などが影響して発症するのではないかと考えられています。
通常、皮膚は新しく作られてから垢となってはがれ落ちるまでに45日くらいかかりますが、乾癬の病変部では、わずか4日くらいで表皮が作られ、はがれ落ちて行きます。これは免疫の働きが過剰になって起きると見られており、一度発症すると良くなったり、悪くなったりを繰り返します。

この乾癬の症状を抑えるために、従来はステロイドやビタミンD3の外用剤を使用しますが、昨年から今春にかけて、重症の乾癬に対する新薬として「生物学製剤」が相次いで承認され発売されています。
「生物学製剤」は、遺伝子工学技術(バイオテクノロジー)と呼ばれる最先端の技術によって開発されたもので、免疫を下げる作用があるため、副作用に注意しながら使用する必要がありますが、優れた改善効果に期待が高まっています。
現在、日本皮膚科学会は、生物学製剤を使用できる医療機関として全国約500ヶ所を認定しています。

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